知多半島はその昔、酒の名産地として栄え江戸へ多くの日本酒を送り出していました。今もその味を引き継ぎ7つの蔵で酒造りが行われています。今回は、日本酒はあまり飲んだことがない、日本酒ってよくわからないという日本酒ビギナーも楽しめるお酒を、蔵人たちに紹介してもらいました。
日本酒の名称と種類について
ひとくちに日本酒・地酒(以下「お酒」でまとめます)といっても材料や製法などの違いで様々な種類に分けられます。お酒を選ぶにあたり気にしてほしいポイントをまとめてみました。
まずは原材料の米について。酒造りに使われるお米は、ご飯になる食用のお米とは異なり酒造りに適したお米(酒造好適米=酒米)として栽培されています。その人気ブランドといえば兵庫県の「山田錦」、新潟県の「五百万石」は誰もが知る有名どころ。味も香りも素晴らしい酒米です。ちなみに愛知県で生産されている酒米は「若水」や「夢吟香」という品種になります。
次に気にしたいのは精米歩合。これはお米を何%削って造られたかという基準です。精米歩合60%というのは、米粒を40%削って造られたということ。お米は削れば削るほど香り高いお酒に仕上げることができます。
最後に、お酒の種類について。米・米麹・水のみで造られたものは純米大吟醸・純米吟醸など「純米」と表記されます。そこに醸造アルコールが足されたものを大吟醸・吟醸と呼びます。醸造アルコールを足す理由としては、味にキレが出る、爽やかな飲み口になる、香りが立つなどのメリットがあるためです。
お酒は「酒米」「精米歩合」「米麹」「製法」を変えて製造している場合が多く、銘柄が同じでも風味や味わいが全く異なる別物といっても過言ではありません。またこの造り方が一番おいしい!という正解もありません。すべては飲み手の好み次第。銘柄はもちろんのこと、酒米や精米歩合を見ながらお酒選びをしてみるのも楽しいですよ!
実は日本酒の名産地だった!知多半島の酒造りの歴史
知多半島で酒造りが始まったのは、300年以上前。日本酒の主原料になる良質な米と水、さらに発酵に適した温暖な気候や伊吹おろしと呼ばれる西から吹き抜ける冷たい風など、酒造りに適した環境が整っていたことに始まります。
江戸初期になると全体で114軒の酒造家が創業し、さらに廻船を使った運搬が盛んになったことで酒造りは大きな発展を遂げました。当時は日本酒の産地として有名な兵庫県灘に継ぐ一大醸造地ともいわれていました。
そして、最盛期の明治初期には220もの酒蔵が知多半島にあったと言われています。しかし需要の低下とともに酒蔵は年々減少し、現在では7蔵を残すのみとなりました。
知多半島で歴史ある味を守り続け、伝統的な製法で知多酒を造り続ける酒蔵をご紹介します。
中埜酒造株式会社
中埜酒造とは
中埜酒造は弘化元年(1844)に半田市で創業した酒蔵です。代表銘柄には「国の繁栄を願い、我が酒の盛んなること」という意味を込めて名付けられた「国盛」や「半田郷」などがあります。東海地区では酒屋、スーパー、飲食店などでよく見かけるため馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
江戸時代から造られはじめた国盛は、明治期になると評判を呼び生産量も大幅に増えていきます。そしてその名を確固たるものとしたのが明治23年知多半島で行われた第一回大日本帝国陸海軍合同の大演習です。国盛蔵の敷地内には大本営が置かれ明治天皇をお迎えしました。これは国盛蔵がいかに世に認知され信頼を得ていたかを物語っています。
日本酒の機械化に挑んだ先人たち
酒造りは当時すべて職人たちの手作業で行われていました。しかし職人の高齢化と担い手の減少を懸念した中埜酒造はいち早く機械化に目を向け、1984年に現在の醸造工場を新設しました。
機械化といっても、伝統の技や人の五感を必要とする工程においては、杜氏をはじめとする職人たちの知識と経験あってのもの。これは今も変わらず、人と機械の力を総合して日本酒造りが成り立っています。
今では技術の発展により、蓄積された緻密なデータや分析からより高度な酒造りが可能になりました。その香りと味は多くの人にも認められ、全国新酒鑑評会においては金賞を受賞しています。
酒造りの歴史を学ぶ博物館 酒の文化館
中埜酒造では、1985年新工場が完成し稼働が始まったのを機に、約200年にわたって酒造りを行っていた酒蔵を利用した資料館を開設しました。
機械化により使われなくなった道具や酒造りの工程などを見ることができます。
また館内には中埜酒造の芳醇麗酒を利き酒できるコーナーやお酒を購入できる売店も。気になる商品をぜひ手に取ってみてくださいね。
中埜酒造のオススメする日本酒はコレ!
国盛 酒の文化館の館長・浜さんに、オススメの銘柄を聞いてみました!
純米吟醸 半田郷 酵母1081全米日本酒歓評会吟醸部門でグランプリ!半田郷 酵母1081は、じっくり低温で仕込んだことによる華やかな吟醸香と純米ならではの米の旨味が感じられるお酒。ほのかな甘みがありすっきりと飲みやすい、バランスの良さが特徴。5℃~10℃前後に冷やして飲むのがおすすめです。
山田錦 大吟醸 国盛酒米の王様と称される「山田錦」を使用した大吟醸。手軽に少し贅沢な気分を愉しめます。
やさしい心地よい飲み口で、口の中にふわっと広がる吟醸香。華やかな香りなので食前酒に向いているお酒です。
超特撰國盛 純米大吟醸 中埜こちらも山田錦を使用した、調和のとれた芳醇な香りとふくよかな味わい。昔ながらのしっかりとしたお米の旨味と香りが楽しめます。
食事といっしょにというより、このお酒を飲むために軽いつまみを用意して、ゆっくりと味わいたいお酒です。
蔵人が教える日本酒のおもしろさ
日本酒ビギナーにとって、種類豊富な日本酒選びは迷うことも多いでしょう。そして中には最初に飲んだ日本酒が口に合わず、マイナスイメージがそのままの方も少なくありません。
「日本酒は温度を変えて飲んでみてほしい」と語る浜さん。例えば吟醸系のお酒=冷やで飲むイメージですが、あえて吟醸系のお酒をぬる燗で飲む人もいます。お酒は温度によって味も香りが変化します。飲み方を変えたら好みのお酒に変わった!なんてことも。自分に合う温度というのを探すのも日本酒の楽しみ方のひとつです。
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盛田金しゃち酒造株式会社
盛田金しゃち酒造とは
盛田金しゃち酒造は、ユネスコ無形文化遺産にも登録された亀崎潮干祭りのある半田市亀崎地区にある酒蔵。もともとあった嘉永元年(1848)から続く天埜酒造という酒蔵が廃業する際に、蔵ごと引き継ぐ形で2010年に創業しました。
そのため愛知を代表する銘柄になることを願って名付けた「金鯱」のほか、地元の人に愛され続けてきた天埜酒造の「初夢桜」も継承し、2銘柄を製造しています。
食卓で毎日楽しむお酒を目指して
盛田金しゃち酒造の目指す酒造りは、米の旨みを感じるまろやかな舌ざわりを感じながらも、くどさのない透明感のある清酒。酒米は山田錦のほかに、地元の農家さんから仕入れる夢吟香を使っています。
また亀崎はすぐ目の前に海が広がる立地でありながら、海水の影響を受けることなく良い品質の水に恵まれてきました。仕込みに使う井戸水は軟水で口あたりが柔らかく飲みやすいお酒に仕上がるため、米を溶かしすぎないように醪(もろみ)を低温でじっくりと発酵させて、雑味のないきれいな味わいにこだわった酒造りをしています。
蒸米や温度管理など一部で設備導入もしていますが、洗米や麹造りなど要となる工程のほとんどを昔ながらの手作業で行っています。お米一粒一粒と向き合い、じっくり手間暇かけた味わいが楽しめます。
金しゃち酒造のオススメはコレ!
金しゃち酒造の大崎さんにオススメの銘柄を聞いてみました!
金鯱 夢吟香 純米酒夢吟香を65%精白した純米酒。夢吟香のお米の旨味を最大限に引き出し、厚みのあるしっかりした味わいの辛口のお酒です。すっきりとしたのどごしで、おかずがあればより進むまるで「ご飯の代わり」のような一本です。
金鯱 純米大吟醸香りと甘み、酸味のバランスを重視した飲み飽きしないお酒。食事を引き立てるようあえて控えめにした上品な吟醸香とまろやかな味わい。和食を中心とした食中酒として楽しめます。大吟醸ですがぬる燗にも◎
金鯱 苺酒果実系のリキュールは果汁やピューレを用いることが多いのですが、苺を純米吟醸に「漬け込む」ので、濁りがほとんどありません。苺の甘みとやさしい酸味のすっきりした味わいと、完熟苺のフレッシュな香りが楽しめるお酒です。飲み方は、ロック・炭酸割が代表的ですが、凍らしてシャーベットにするのもオススメです。
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丸一酒造株式会社
丸一酒造とは
丸一酒造は大正6年(1917)に創業した阿久比町にある酒蔵。阿久比町はおいしいと評判の「阿久比米」の産地であり、きれいな水のある場所にしか生息しないといわれる蛍の群舞をみることができるほど自然と水に恵まれた町。そんな酒造りに適した環境が整う阿久比で昔と変わらない製法を受け継いでいるのが丸一酒造です。
代表銘柄は「ほしいずみ」。創業時から仕込み水として利用している井戸に映る星から「星泉(ほしいずみ)」と名付けられました。
地元のお米と水を生かした酒造り
丸一酒造の酒造りに使われる酒米は主に地元の「若水」「夢吟香」。知多でとれた酒米と知多の水を使ってつくるからこそ、阿久比で酒造りをする意味があるというほど、地産への強いこだわりを持っています。また小仕込みによる完全手造りで醸された日本酒は、芳醇で飲み口が柔らかく爽やか。封を切った瞬間に広がるフルーティーな香りが特徴です。
酒造りは知れば知るほど奥深く、例えば浸漬(お米を水に浸し水分を含ませる工程)を数秒変えただけで出来栄えが変わるといわれています。これはどの酒蔵もストップウォッチを片手に秒単位で作業をするほど神経を使うんだそう。
酒造りはこうした繊細な作業をいくつも積み重ねて出来上がります。浸漬を30秒長くしたら、麹菌の生育環境を変えたら味はどう変わるのか。仕込んでみないと分からないのが酒造りの難しさでありおもしろさともいえます。
丸一酒造の歴史ある蔵の中はとてもキレイに整理整頓がされており、細かいところまで清掃されていました。スッキリとした味わいの「ほしいずみ」を作るために環境から整えていく、という考え方だそうで、造り手の行動が味に現れることにお酒造りの奥深さを感じました。
実際にその出来栄えは9年連続金賞を受賞するなど全国でも認められています。
丸一酒造のオススメはコレ!
丸一酒造の中村さんにオススメのお酒を聞いてみました。
純米吟醸 ほしいずみ 無濾過生原酒新酒ができる冬季だからこそ楽しめるほしいずみの無濾過生原酒。生原酒とは火入れ(保存のために加熱し殺菌する作業)を行っていない日本酒。封を切った瞬間に広がるフルーティーな香りと甘さ、そして新酒らしい荒々しいキレが特徴です。
純米大吟醸 ほしいずみ 夢吟香精米50%の純米大吟醸ほしいずみ。フルーティーな香りと米の旨み、甘みを感じられるお酒です。豊かな味わいを引き出したTHE日本酒。
純米大吟醸 ほしいずみ 夢吟香精米40%の純米大吟醸ほしいずみ。夢吟香の精米は50%前後が限度と言われている中で、40%まで削り造られたお酒。フルーティーな香りに爽やかな味わいで、とても飲みやすく女性やビギナーにもオススメの一本です。
同じ夢吟香を使っていますが精米の度合いが異なるだけでこれほど味わいや香りに違いが出るのかと驚きます。ぜひ飲み比べて感じてみてください。
試してみて!おすすめの飲み方
香りが豊かでキレがよくすっきりした味わいのほしいずみは、ガリやドライフルーツ、チーズと合わせるのもオススメ。また味が濃厚なためロックでも◎
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原田酒造合資会社
原田酒造とは
原田酒造は、安政二年(1855)に東浦町で創業した酒蔵。酒蔵の西側に日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東国征伐に向かう途中で喉の渇きを癒すために弓のはずを突き立てると、冷たい清水がこんこんと湧き出したとされる井戸があり、代表銘柄の生道井はそこから名づけられました。
酒蔵の周辺はもともと海辺の町で、地層には貝殻などの化石が多く埋まっています。そのため仕込みに使っている井戸水には多くのリンやミネラルを含み、知多半島では珍しく硬水に近い水で酒造りをしています。硬水で造るお酒は発酵が促進されるため輪郭のはっきりした力強い味わいになるのが特徴です。
昔ながらの手造りにこだわる酒蔵
原田酒造では創業当時からの味わいを守るため、昔ながらの道具を使った酒造りを行っています。そのひとつが蒸米で使われる杉の木甑(きごしき)です。
木甑は鉄製の釜に比べ熱伝導率が低く蒸米時に内側と外側で温度差が出にくいほか、外気温差で発生した水滴を吸収するなど保温性、断熱性に加え、調湿効果を備えています。
また搾りでは、醪(もろみ)の入った酒袋を木製の酒槽に積み上げ、上からの圧で酒を絞る槽(ふな)搾りを行っています。時間がとてつもなくかかりますが、強い圧力がかからないため、雑味が少なく、うす濁りの昔ながらの搾ったままのお酒になるんだとか。
こうした昔ながらの製法で造るお酒は手間暇かかるうえ、適切な管理と高い技術力が必要になります。しかしその分米の旨みからくる芳醇な味わいと雑味のないなめらかな口当たりに仕上がります。
原田酒造のオススメはコレ!
原田酒造の代表・原田さんにオススメをうかがってみました!
純米大吟醸 夢吟香名古屋市内の料亭河文で行われたG20外相会合の夕食会において提供されたことで話題になったお酒です。上品な香りとキレのいい後味が特徴。軽快で飲みやすく和食だけではなく洋食にも◎。
特別純米 衣が浦若水しぼりたて 新酒の時期(冬季)限定で発売される若水しぼりたて。新酒ならではのフレッシュさが楽しめます。洗米から搾りまですべて手作業、お米の旨味を生かした原酒です。高すぎないアルコール度数で、にごり酒ですが飲みやすさも。
スパークリング 槽口直取り醪を圧搾してろ過した際に清酒が流れ出る槽口から直取りしたことで、発酵の際に生成された炭酸ガスが溶け込んだしゅわしゅわ感の残るお酒です。お米のうまみが残るフレッシュでみずみずしい風味が楽しめます。
パスタやグラタンなどクリームソースを使った料理やフォアグラを食材とした料理との相性は抜群です。
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澤田酒造株式会社
澤田酒造とは
常滑市で嘉永元年(1848)に創業した澤田酒造。明治時代に乳酸添加による酒母づくりに成功し速醸の礎となってからは、古式伝承を大切に昔ながらの道具と製法で酒造りを行っています。
仕込み水は蔵から2㎞離れた丘陵地に湧くまろやかな天然水。水源からたった数メートル離れただけで酒造りに適さない水になってしまうそうで、江戸時代から大切に管理して使っています。今でも水量・水質ともに変わらず澤田酒造の酒造りを支えています。
そんな澤田酒造の代表銘柄は「白老」。お米の美しさを意味する「白」と延命長寿と老成した枝という意味をこめた「老」を組み合わせて名づけられました。
手間暇を惜しまず大切に守り続ける製法
澤田酒造では、木甑での蒸米など原田酒造と同様に昔から使われてきた道具と昔ながらの製法で酒造りを行っています。あえて手間暇のかかる製法を守り続けるのは、やはり米の旨みをしっかりと引き出し、濃醇でありながら雑味のない酒造りへのこだわりゆえ。
そんな澤田酒造の特長といえば木製の麹蓋に小分けして行う麹造り。麹は高温多湿に管理された室内で蒸米に種麹をふりかけ、2~3時間おきに満遍なくかき混ぜながら増殖させてつくります。完成まで約50時間、付きっきりで行う繊細かつ心血注ぐ大切な作業です。
酒蔵の多くは大きな木箱の中で一斉に麹を造る「箱麹法」を取り入れていますが、澤田酒造では麹蓋に小分けにして作る麹蓋法を行っています。米質や麹の発育度を細かく調整できるため、麹の品質にこだわることができる反面、一枚一枚かき混ぜ管理をしなくてはならず、箱麹法に比べて何倍もの手間と労力がかかります。
そのため愛知県内でこの製法を用いている酒蔵は澤田酒造だけ。しかも大吟醸から普通酒までこの製法で酒造りを行っています。
澤田酒造のオススメはコレ!
澤田酒造の代表取締役社長・澤田さんにオススメを聞いてみました!
特別純米酒 白老白老を初めて飲む方におすすめしたい特別純米酒白老。お米の旨みを感じられる濃醇な味わいと酸味のバランスが調和した辛口タイプのお酒です。切れ味もあるためすっきり感も。
白老 自然栽培米の酒 一度火入れ原酒数年間無農薬無肥料栽培をする田んぼで育てた雄町を用いて造られた日本酒です。雄町は酒米のルーツともいわれ、栽培の難しさから幻の酒米と呼ばれたこともある品種。芳醇でコクがあり、お米の生命力を感じるほど力強い味わいが特徴です。お酒好きにおすすめしたい一本です。
蔵人だけしか飲めぬ酒昭和44年に発売されたお酒で生酒の元祖といわれています。発売から50年以上の歴史を持ち、毎年楽しみにしているファンも多い人気の銘柄。お米の甘みで濃厚な味わいに仕上がった無濾過生原酒です。
盛田株式会社
盛田とは
盛田は寛文5年(1665)に常滑市で創業し今年で357年目を迎える老舗の酒蔵。江戸時代に日本酒の主要産地だった兵庫県灘の酒造技術に迫る酒質を実現し、今日まで幅広い世代に愛されてきたのが代表銘柄でもある「ねのひ」。正月初子の日に、小松や若葉を摘んで長寿を祝う縁起の良い風習から名づけられました。そのためねのひのラベルには松の絵が描かれています。
現在は清酒、みそとたまり、しょうゆの3つを醸造し、酒・食総合の醸造メーカーとして全国展開をしています。ソニー㈱の創立者のひとりである盛田昭夫氏の実家としても知られています。
変わらぬ伝統と品質へのこだわり
盛田の目指す味わいは、芳醇旨口。味噌やたまり、醤油など濃い味付けが多い知多半島の食文化に相性の良い濃厚で旨味の強い味わいのお酒です。日本酒本来の米の旨みを感じながら程よい後味と余韻を引き出すため、品質にとことんこだわり大手メーカーならではのネットワークで原料の厳選、全国から選び抜いたものを使用しています。
そのひとつが仕込み水。理想の水を探し求めたどり着いたというのが長野県にある木曾御嶽山の開田高原に湧く清らかな超軟水。硬度の低い水は発酵が緩やかでまろやかな旨味のある味わいのお酒に仕上がります。といっても水源から酒蔵までは約200㎞。ローリーで運ぶというのだからそのこだわりには脱帽します。
また名古屋大学と共同で仕込んだ桜酵母をつかった純米酒「盛田 純米 AR4」やワインの貯蔵に使われるオーク樽にねかせた「ねのひ オーク樽貯蔵純米」など新しいお酒も生み出しています。歴史ある銘柄を守りつつも新しい挑戦を発信し続けています。
醸造を体感できる工場隣接の味の館
清酒製造を行っている常滑市小鈴谷の工場の横には、170年前の醸造蔵を改装した「盛田味の館」があります。ここでは醸造工程の紹介や造られたばかりのお酒や食品を味わうことができます。
味の館限定のお酒が揃っていますので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね!
■盛田味の館開館時間: 10:00~16:00
休館日: 毎週火曜日・水曜日・お盆・年末年始
お問い合わせ先: 0569-37-0733
〒479-0807 愛知県常滑市小鈴谷字脇浜10番地
【お知らせ】盛田味の館では、2022年2月11日~13日まで蔵直販売会が開催されます。
蔵開き限定酒の販売や清酒の有料試飲会、限定のお得な販売会も!
日時: 2/11(金)~13(日) 10:00~16:00
場所:盛田味の館(常滑市小鈴谷脇浜10番地)
各日イベント内容はこちら。
11日(金)福袋販売会(限定数)
12日(土)みそ量り売り
13日(日)ねのひ酒粕を使った奈良漬け詰め放題
盛田酒造のオススメはコレ!
盛田の清酒製造部 仕込課の土屋さんにオススメをうかがってみました!
ねのひ 本醸造 しぼりたて生今の時期(冬季)限定の本醸造生原酒です。新酒特有の新鮮でフルーティーな香りと少し辛口、どっしりとしたコクが特徴のお酒です。アルコール度数が高いため冷やすのがオススメです。味も強いためロックでも◎
盛田 純米吟醸 無濾過米本来の旨味を残すため無濾過で仕上げた純米吟醸酒。穏やかな香りと深い味わいが楽しめます。ホタテのバター焼きなど濃い味付けの料理にも相性の良いお酒です。
大吟醸 鸞(らん)すっきりとしつつも、アルコール度数の高い飲みごたえのあるお酒。吟醸香と米の旨味、甘みのバランスが良く、日本酒を飲み始めたばかりの方におすすめしたい大吟醸酒です。何よりもリーズナブルなのもうれしいポイント。
伊東株式会社
復活を遂げた「敷嶋」
敷嶋は伊東合資会社が天明8年(1788年)より半田市にて製造していた清酒ブランドです。江戸でお酒が不足していた頃に供給し続けて、かつてその名は全国区にまでなりました。しかし平成12年(2000年)に200年以上続いた歴史に幕を下ろすことになりました。
敷嶋の完全復活に向けて
その敷嶋が令和2年(2020年)、委託製造というカタチですが敷嶋「0歩目」という名前で復活しました。その翌年には、敷嶋「半歩目」を製造。そして、2022年には創業の地、半田市亀崎での製造が開始されます。
知多半島の7蔵目が奇跡の復活!現在はかなり品薄になっているようで手に入れることは難しそうですが、2022年には創業の地で作られた新しい敷嶋が手に入ります。適度なうまみとキレのある味わいを楽しめる、復活した敷嶋の味を堪能してください。
いかがでしたか?知多半島の酒蔵には、ここでは紹介しきれないほどオススメのお酒があります。「日本酒は苦手!」「匂いがちょっと……。」という方は、銘柄に「吟醸」「大吟醸」と付くお酒から試してみてください。華やかでフルーティな香りがきっと日本酒のイメージを変えてくれます。吟醸酒でお酒の魅力を感じたら、ぜひ知多半島のお酒を飲み比べてその奥深さを楽しんでください。