※本記事は2022年9月時点での取材内容です。最新情報は、各施設のホームページをご確認ください
知多半島で釣れる「ハゼ」
一体どんな魚なの?
ハゼはスズキ目ハゼ亜目に分類される魚の総称。現在確認されているだけでも2,100種類以上いるといわれ、体長も1㎝ほどの小さなものから50㎝を超えるものまで様々です。川底や海底などをお腹で這うように生息しているのが特徴で、例えば干潟に生息するムツゴロウもハゼの仲間です。
どこで・いつ頃釣れる?
ハゼの生命力はとても強く干潟や海、川などあらゆる水域環境に順応し生育することができます。時期によって生活環境を変えていくため、夏頃は海岸の浅い場所や海水と川の混ざる汽水域にいることが多い魚です。
今回体験した半田市亀崎エリアでは、6月に「亀崎海浜緑地公園」からスタートして、7月になると「潮風の丘緑地公園」周辺でもハゼ釣りを楽しむことができるようです。
▼知多半島でいつどんな魚が釣れる?
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スーパーでなぜ見掛けない?
天ぷらにすると美味しいハゼですが、スーパーではあまり見かけません。その理由は、まず鮮度が落ちるのが早いこと。さらに、サイズが小さいうえに海底や川底で生活しているため、網目の細かい底引網でしか捕獲することができないため「採算が合わない」ということです。
秋になると大きくなったハゼが一部出回ることがありますが、結構高額!ハゼはやはり自分で釣って食べるのがおすすめですね。
釣り初心者がハゼ釣りに行ってみた!
実はこのハゼ釣り、魚釣りの中では入門編といっても過言ではないほど簡単で、初心者でも始めやすいと言われています。
今回は「つり具の上州屋 半田店」の今枝さんに協力していただき、詳しく解説してもらいながら、ハゼ釣り体験に行ってきました。
上州屋半田店で道具を揃えよう!
まずは釣り道具を揃えるために、半田市祢宜町にある「釣り具の上州屋 半田店」へ。
海釣りを中心とした釣り道具がびっしりと並んでいます。
ハゼ釣りは専用コーナーが設置されているので、ここに来ればハゼ釣りに必要な釣り具は全て揃います。
今枝さんいわく、最低限揃えておきたい道具は以下の通り。
<ハゼ釣りで必要な道具>
●釣り竿
●仕掛け、予備の仕掛け
●エサ(イシゴカイ)
●水汲みバケツ
●クーラーボックス
●タオル数枚
●ハサミ
●ゴミ袋
水くみバケツはロープを巻き取るハンドル付きが便利ですよ!
おすすめの釣り道具は?
上州屋半田店ではハゼ釣りに関する様々な釣り具を扱っていますが、初心者には一式まとめて買える「亀崎ハゼ釣りセット」がおすすめ。
細かく言うと同じ釣り竿や針でもサイズや長さ違いで色々あります。
これらはハゼの大きさや釣り場所によって異なるため、適切な物を選んでいきましょう。迷ったら店員さんに聞いてみてくださいね。
竿を大きく分類すると「リール竿」と「のべ竿」の2種類。リールが付けられるか付けられないかの違いです。秋から始める場合は、リール付きのリール竿が良いでしょう。
ちなみに夏の早い時期にハゼ釣りをするなら近場の浅瀬が釣りポイントになるため、のべ竿がおすすめです。
コーナーには上州屋さんのスタッフが、実際に亀崎で釣りに行って得た最新情報が貼り出されています。1~2週間おきに更新されていて、ためになる貴重な情報がいっぱい!実際に直近で釣れたハゼの展示もあるので釣れるサイズの参考にもなりますよ。
亀崎でハゼ釣りをするなら上州屋半田店に行けば間違いなし!道具の選び方など、詳しく教えて貰えるのでわからないことは店員さんに相談しましょう。
ハゼ釣りスタート!
まずは「自分の釣り場」を確保
訪れたのは2022年8月末頃。今回は、秋頃に人気の釣りスポット「潮風の丘緑地」へ行ってみました。
釣り場に行ったらまずは自分の場所を確保しましょう。
すでに先客がいる場合は、最低でもお互いに竿が当たらない程度の距離を空ける必要があります。特にリールを使った釣りの初心者は、まっすぐ釣り糸が飛ばせるとは限りません。先に釣りをしている人に一声かけて、余裕を持った間隔を取るように心掛けましょう。
目安はこれぐらい。5~10mは離れておくと良いでしょう。
仕掛けのつくり方
釣り場所を決めたら仕掛けをつくってみましょう。
釣り竿のリールにはベールという糸を「解放する状態」と「巻き取る状態」に切り替える半円のリングがついています。まずはこのベールを起こしてから、釣り糸を引き出します。ここを間違うとリールを回しても糸を巻き取れなくなるので注意してくださいね。
伸ばした糸は竿のガイド(糸を通す穴)を通して先端まで。
ここに「亀崎ハゼ釣りセット」にも入っている全長仕掛けの「ハゼ大将Ⅱ」を取り付けましょう。
一度に全部開封せずスイベルスナップ(仕掛けとリールからの糸をつなぐための金具)だけを引き出して取り付けてから開封すると、糸が絡まるなどのトラブルが防げます。結び目は釣り専用の結び方が適切ですが、釣り場でどうしてもわからなくなった場合は駒結びなど2.3回して強く引っ張っても外れない状態であれば最低限OKとしましょう!
しっかり結べたことを確認したら開封し、釣り針にエサをつけましょう。
最大の難関?餌を付けよう!
エサになるのは「イシゴカイ」。苦手な人にとっては最大の難関になりそうですね。気になる人は滑り止めになる「拙者のこだわり石粉(132円)」を使ってみましょう。ヌルヌルが軽減され、見た目も少しだけマシになりますよ。
またどうしても触りたくない人は、エサ用トングを購入しておくのがベスト。
イシゴカイは頭部が硬く胴体は柔らかいので、釣り針は口からぐっと差し込むようにいれていきます。釣り針が隠れるくらいが◎。長ければカットしましょう。
バケツの便利さを実感
エサを付けたり魚から針を外したりで、手が汚れます。ここで登場するのが水汲みバケツ。水面にバケツを投げ入れると勝手に倒れ込んで水が入る仕組みになっています。
釣りはちょっと手を洗いたいという場面が多いので、この水汲みバケツは必須だと感じました。
あと、タオルも必要ですね。
釣りスタート!
エサ付けができたらいよいよハゼ釣りのスタートです。指に糸を引っかけてからベールを起こして糸を解放状態にします。
背後に誰もいないことを確認したら釣り竿を持ち上げ、剣道の面打ちのように勢いよく投げます。この時、指にかけていた糸も離すのですが、このタイミングが合わないと遠くまで飛びません。
遠くへ飛ばすコツは、狙った箇所よりちょっと上のほうをイメージして投げると上手くいきますよ。
ベールを戻して巻き取りモードにしたら、たるんだ糸が張るまで巻き取ります。糸が張っていればハゼがエサに食いついた瞬間にブルッと振動が伝わります。
ブルッときた時に竿をクイッと上げると、針がハゼにしっかり刺さります。この引くタイミングが大切。
なんと初心者でも一投目で釣れました!もしやこれがビギナーズラック??
ちなみに投げ入れてから少しおいて何も反応がなければ、ゆっくり竿を立てて、たるんだ糸を巻き取ります。水中でエサを動かすイメージです。これを繰り返して手元までエサを戻すように移動させていき、かからなければもう一度投げ入れてみましょう。
釣れたハゼを生かして持ち帰るならエアポンプ付きのバケツに入れて泳がせておくのがベストですが、初心者でこの道具まで買い揃えるのは少し躊躇するところ。
普通に家で調理して食べる分には、氷の入ったクーラーボックスでしっかり冷やして持ち帰ればOKです。
釣ったハゼを収納する際にチャック付きの袋に入れて氷の入ったクーラーボックスへ入れるのがおすすめ。こうすれば臭い移りもせず、新鮮なまま持ち帰ることができますよ。
最後に、ゴミ袋は必ず持っていくようにしてください。そして、ビニール袋や切った釣り糸など、自分で出したゴミは必ず持ち帰りましょう。水中や釣り場の環境悪化を招くのはもちろんのこと、ゴミが原因で「釣り禁止」になることもあるので、これだけは必ず守ってほしいと今枝さんから切実なお願いがありました。
釣り上げてしまったゴミも持ち帰りましょう!
入れ食いの時は1時間で50匹は釣れるという亀崎のハゼ釣り。初心者でも簡単に釣ることができとても楽しめました。連日釣り人でにぎわうのも納得です。▼ハゼ以外の釣りを楽しみたい人に!
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釣ったハゼを調理しよう!
今回はハゼの美味しさを存分に楽しめる天ぷらをつくってみたいと思います。
魚を捌くというと身構えてしまう方も多いかと思いますが、工程はそこそこ簡単なので安心してくださいね。
まずは下準備をしよう
最初に行うのはヌメリとウロコ取りです。
ボールにハゼを入れたら塩を振り、しっかり混ぜていきましょう。ヌメリと一緒に汚れも落とせます。最初のうちは濁り水がでてくるので2~3回流水で洗うときれいになりますよ。
次にウロコをとっていきましょう。小さなハゼは三角コーナー用のネットに入れて表面をこすっていきます。市販されている硬めネットを使うと◎。ネットから取り出すと柔らかくなったウロコが指で簡単に取れちゃいます。
大きめのハゼのウロコはしっかりしているのでネットだけではどうしても残ってしまいます。ざらざらするようであれば、包丁を尾から頭に向けて滑らせこすり落としましょう。
背開きに挑戦!
今回は天ぷらということで背開きに挑戦してみました。背開きとは「お腹の部分がつながっていて背が開けた形」です。よく店頭で売られているアジの干物とは逆とイメージすればわかりやすいかもしれません。
背開きの工程を簡単にまとめると4つの手順になります。
① 腹ビレをカットする
② 頭を切り落とす
③ 内臓を取り出す
④ 中骨を取る
⑤ 血合いを擦り取る
①の腹ビレカットは簡単。キッチンはさみでカットします。
②頭の切り落としです。エラの下に包丁を入れ、頭に向けて斜めに切り落としましょう。
次に③内臓を取り出します。
10㎝未満の小さなハゼは中骨ごと食べることができるので、ここで下処理完了です。
中骨も食べられるとはいえ、火を通す時間が短い天ぷらだとゴリゴリ感は残りやすいので気になるようであれば処理をするか、天ぷらではなくフライでじっくり火を通すことをおすすめします。
ここから④中骨をとるためハゼをさばいていきます。
ハゼの背に頭から尾に向けて包丁を入れていきましょう。包丁の先を中骨に沿わせるように入れるのがポイントです。
大切なのはお腹を貫通しないこと。ギリギリのところで止めてくださいね。
反対側も同様に中骨に沿って開いていきます。今回は裏返して頭側から包丁を入れましたが、やりにくい場合はそのままの状態で中骨だけをそぎ落としても◎
最後に尾の部分で中骨を切り落とせば背開きの完成です。
身に血合いが残っている場合は、歯ブラシで擦るときれいに取れますよ。
すべて開いたら最後に塩水で〆ましょう。
天ぷらを揚げよう!
ハゼの下処理が終わったら、天ぷら粉をつけて揚げていきます。
はじめに深めのフライパンに2~3㎝ほどの油を入れ熱しておきましょう。
ハゼに小麦粉を薄くまぶします。
次に市販の天ぷら粉でつくった衣に開いたハゼをくぐらせます。
180℃の油に滑らせるように入れていきます。やけどには注意してくださいね!
約1分半~2分ほどで揚げ上がります。
せっかくなので彩りを添えるために大葉も揚げてみました。一緒に夏野菜を揚げてもおいしそうですね。
ハゼの天ぷらが完成です!
小さいながらも身がふわふわで旨味が濃縮された濃厚な味。自分で釣ったからなのか、なんだかより美味しく感じました。
初挑戦の連続でしたが、ハゼ釣りも捌く工程も思ったより簡単で、初心者の方も始めやすいのではないかと思います。まだまだ秋のハゼ釣りを楽しめます。ぜひ亀崎へ行ってみてくださいね!